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花の撮影テクニック(2)レンズで表現を変える

広角レンズで花に近づいて撮影 背景が広く写る

ファインダーを覗きながらズームを広角〜望遠に調整するのではなく、最初から広角で撮るのか望遠で撮るのか、イメージを考えましょう。写る花の大きさはズームで決めるのではなく、自分が動いて、花に近づいたり離れたりします。

同じ被写体を望遠レンズ(標準ズームの望遠側)で撮るのと、広角レンズ(標準ズームの望広角側)で撮るのでは、どう雰囲気が違うのかわかりますか?

望遠で撮る

望遠の特徴

花を望遠撮影(おおよその目安として、レンズに表示されているズーム数値が50mm以上の場合を望遠と言ってよいでしょう)したときの特徴は、背景がボケやすいことです。ズーム数値(焦点距離)が大きくなるほど、写る範囲が狭くなっていき、背景のボケかたも大きくなっていきます。写る花の大きさは、ズームを動かして調整するのではなく、撮影者自身が花から離れたり近づいたりして調節します。被写体が大きく写るので、撮影者は被写体から離れて撮影することになります。

これだけでも背景はボケますが、ピントを合わせた被写体と背景との距離を大きくする、絞りの数値を小さく(絞りをあける)と、背景はさらにボケます。

絞りの設定

絞りの設定を変えても、ファインダーで覗いた時のボケは変化しません。シャッターを押した瞬間だけ絞り値が変わるからです。撮った写真を比較すると絞りの効果が確認できます。ファインダーをのぞいている時は、絞りの設定に関わらず、絞りがいちばん開いている状態で映像が見えています。
つまりボケがいちばん大きい状態で見ている訳です。このままのボケでよければ絞り開放(絞り値Fが最小値)で撮りましょう。背景がボケすぎな時は絞り値を大きくしていけば良いのです。

前ボケを入れる

望遠での撮影時はカメラと花との距離が大きくなります。ピントを合わせた花とカメラにある『邪魔な被写体!』を前ボケとして生かしてみましょう。やわらかい雰囲気をつくる前ボケは花の撮影では効果的な場合が多く、さりげなく入れるのが良いでしょう。前ボケとなる花をできるだけレンズの近くにするのがポイントです。

広角レンズを使う

広角の特徴

広角は左右に広く写るだけではなく、見た目よりも遠近感が強調されます。花に近づいて撮影すると花の大きさが強調され、背景の空間が広く写ります。咲いている場所の様子も花といっしょに写したい時は、「広角で接写」すると良いでしょう。絞りを開ける(F数値を小さくする)と背景はボケますが、望遠での撮影のように大きくはなく、場所の雰囲気も表現されます。絞る(F数値を大きくする)と背景のボケは小さくなります。主役がはっきりしていればどちらでもかまいません。

マクロレンズを使う

マクロは接写が得意

『マクロレンズでなければ花の撮影ができない』ということはありません。マクロレンズは通常のレンズよりも近づいて大きく写すことができる接写が得意なレンズです。小さな花を画面に大きく写したり、しべなどを部分的に写すのが得意です。そこまで接写しない時は、望遠や広角でそれぞれの特徴を生かした撮影も考えましょう。

被写体に近づけば近づくほど、背景のボケが大きくなります。マクロレンズは被写体にかなり近くまで寄れるので、このような撮影の時は幻想的なボケも期待できます。

また、マクロレンズではないレンズでも、クローズアップレンズや中間リングを使うことで、最短撮影距離を短くすることもできます。