CONTENT コラム・フォトレッスン

雪の結晶撮影テクニック

 拡大率の高いマクロ専用レンズを使い青空を背景に撮影

自然が作り出す芸術、雪の結晶。

マクロレンズを使えば、その美しい姿を写真に撮ることができます。

雪の結晶を写すための準備

雪が降っていても、必ずしも形が整った結晶になっているとは限りません。
どのような時にきれいな結晶の雪が降ってくるか、そして、どのような機材を使えば良いのでしょうか。

きれいな結晶になる気象条件

雪が降ってきたら、黒っぽい紙の上に雪を降らせ、きれいな結晶になっているかどうかチェックしてみます。
回数を重ねると、降る雪がきれいな結晶になっているときの条件がわかってきます。
それは、おおよそ気温がマイナス5〜10度で風がない日
そして、雲が薄い時です。
特に、風がないというのが大事な条件で、雪がゆっくりと落ちてくる時はきれいな結晶ができている確率が高くなります。
実際、雪が降っていても被写体として十分な結晶になっていない時の方が多いです。諦めないできれいな結晶が降る時を待ちましょう。

撮影機材

カメラはふつうの一眼カメラで構いません。
大事なのはレンズ。雪の結晶を大きく撮るにはマクロレンズが必要です。
マクロレンズはどのようなものでも結晶は撮れます。
ただマクロ機能付きのズームレンズでは拡大率が不十分なので等倍撮影ができるマクロレンズを使います。
マクロレンズを選ぶ時、焦点距離が違うものが何種類かありますが、拡大できる大きさは同じです。
違うのは焦点距離が長いものは、短いものに比べて、近づかなくても大きく写るということ。
30〜100mm程度の焦点距離であれば、雪の結晶の撮影には問題ありません。
まずは通常のマクロレンズで、しっかりとピントが合った結晶を写せるようになることが基本です。

雪の結晶の撮り方

とても小さな雪の結晶の撮影は、被写体を探すことから始まり
通常の撮影に比べ撮影時でも慎重なピント合わせや設定が必要になってきます。

撮影しやすい結晶を探す

まずは雪の結晶探しからスタートです。
きれいな結晶が降ってきたら、ベランダの手すりの上や木の枝の上などをチェックしてみましょう。
雪面に落ちた雪よりも、手すりの上などに立ったままになっている結晶は真横から撮ることができるので、撮影が楽になります。
また、車が外にある場合は、車のフロントガラスに降った結晶も見つけやすく撮りやすいものです。
重要なのは、降ってすぐの雪を撮影すること、時間が経つと結晶が壊れたり解けたりして撮影できなくなってしまいます。
被写体となる雪の結晶を見つけたら見失わないように、私はマッチ棒を結晶の近くに刺して目印にしています。
撮影時の背景が白いと、雪の結晶も白いので目立たなくなってしまいます。
家の壁や木などが背景になるように、また、青空が見える場合は撮影アングルを工夫して青空が背景になるようにすると結晶も目立って撮れます。

ピント合わせは慎重に

撮影の前に、使うレンズの最短撮影距離を確認しておきましょう。
自分のマクロレンズがどのくらいまでピントが合うのか、実際の撮影では結晶をできるだけ大きく撮るために最短撮影距離付近での撮影になりますので、しっかりと把握しておきます。
ピントを合わせるとき、オートフォーカス(AF)でうまく合わない時は、マニュアルフォーカス(MF)に切り替えます。また、マニュアルフォーカスであらかじめ最短撮影距離にしておいて、体を前後させてピントを合わす方法も良いでしょう。
マクロ撮影では被写界深度(ピントが合う範囲)が極めて浅くなりますので、できるだけ結晶の正面から撮影し、結晶全体が同時にピントが合うようにすると良いです。結晶を斜めから狙う時は絞りの値をf8〜11程度にすると、ピントが合う範囲が広がります。

シャッタースピードにも注意が必要です。基本、絞り優先での撮影になりますが、カメラが判断したシャッタースピードも必ず確認してください。
マクロレンズはブレも拡大します。手ブレ防止機能が付いていても1/60秒より速いシャッタースピードが必要です。遅い場合はISO感度を高くして対応します。

さらに拡大接写をするために

撮影に慣れてくると、マクロレンズよりもさらに大きく写したくなってきます。
手っ取り早いのは、画像をトリミング(切り取る)する方法です。ただ、し過ぎると画像が荒くなってしまいますので、2分の1くらいを限界と考えると良いでしょう。
エクステンションチーブ(中間リング)を使ってもより拡大できますが、レンズによっては対応していないものもあるので、購入する場合は必ず確認するようにしてください。
拡大率は小さいのですが、クローズアップレンズを併用することでも、大きく撮ることができます。
また、通常のマクロレンズよりもさらに接写できる特殊なマクロレンズもあります。
マクロレンズで、しっかりピントが合い、ブレない写真が撮れるようになったら、そのようなレンズを使うのも良いでしょう。