CONTENT コラム・フォトレッスン

スナップ写真を楽しむ

店内からもれる温かい光に気づいてレンズを向ける 

カメラを持ち歩きながら「いいな」と思った瞬間にシャッターを切るスナップフォト。

街中や近所でも面白い写真が撮れるもの見方やテクニックを紹介します。

絞りとシャッタースピード、どちらで表現?

写真の基本である絞りとシャッタースピード。
ボケを生かした写真にするか、
あるいはシャッタースピードを使った表現にするか、
被写体や表現したいことをイメージし撮影前に決めましょう。

絞り優先モードでの撮影

前後のボケを大きく表現するには、絞り値を最小に設定します。
背景がうまくボケない場合は、ピント位置を手前に、
そして背景はできるだけ遠くになるようにカメラ位置を決めましょう。
さりげないものでもレンズを通すと雰囲気良くボケてくれます。

夕方から夜にかけては、光が昼間より少なくなりカメラぶれを起こしやすくなりますが
ISO感度を高く(800〜3200)設定することでブレを防げます。
撮影に集中したい場合はISO感度をオートにしておいても良いでしょう。

一般的に望遠レンズを使った方が背景は大きくボケます。
また広角レンズの場合でも、ピントを至近距離に合わせることで
背景のボケが大きく表現されます。

また、ボケを入れずに画面全体をはっきりと撮影したいときは
絞り値を大きくなるように設定します。
遠景だけの場合はF8程度で十分ですが
近景から遠景まではっきり見せるようなときはF16~22まで絞る必要があります。

シャッタースピードでの表現

動いているものが画面にある場合、
動きを止めて撮るか、故意にブラして撮るかで写真のイメージは大きく変わります。
シャッタースピード優先モードにして、シャッタースピードの数値を自分で決めます。
動いているものを止めるには、1/500〜1/2000秒、
ブレを面白く表現するのであれば1/8〜1/30秒くらいに設定します。

例えば、歩いている人を1/8秒で撮影すると、動いている足が面白くブレます。
このくらいのシャッタースピードは、手ブレ(カメラブレ)しやすいので
カメラやレンズの手ブレ防止機能をONにして、しっかりカメラを構えます。
街中では他の人の迷惑になるので、できるだけ三脚は使わないようにしましょう。

カメラの設定とレンズの選択

スナップ写真は素早く撮ることがポイントになります。
時にピント合わせや、構図を決めるのに時間が取られないように
オートフォーカスの設定や、レンズの使いこなしが重要です。

ピントの合わせ方

フォーカスエリアはカメラ任せにするのではなく
どこにピントを合わせるか、自分で決められるモードにします。
素早くピントを合わせるには、フォーカスエリアを中央に設定し
半押しでピント位置を固定できるフォーカスロックを使うのも一つの方法です。

ピントがなかなか合わないときは、MF(マニュアルフォーカス)に切り替えて
手動で合わせた方が、てっとり早い時もあるので、
普段からMFでの撮影にも慣れておいてください。

レンズの使いこなし

どのレンズがスナップ向きかは、撮影者の好みと表現したいことによって変わってきますので
どのようなレンズでも、撮影できると考えてください。
背景を広く入れたい場合は広角レンズ(標準ズームの広角側)で、
ボケを生かしたり遠くのものを引き寄せて撮りたいときは望遠レンズが出番です。

スナップ写真を素早く撮るということを考えると
ファインダーを覗いてからズームを合わせるというのではなく
撮りたいイメージに合わせて予めズーム位置を決めておいて、
撮影時はズームを動かさないという撮り方がおすすめです。
ズームレンズを短焦点レンズ的に使うわけです。

単焦点レンズは写る画角が固定されていますから
撮影に慣れてくると、ファインダーを覗かなくても写る範囲がわかってきます。
レンズの眼になって被写体を見れるようになるわけです。
そのようになると、被写体を見つける力がついてきて
スナップ写真がより楽しくなり、撮影者の視点が伝わってくる作品もできてきます。

単焦点レンズでもズームレンズでも
自分の好きな画角が分かってくると良いですね。

スナップ写真上達のヒント

カメラを持ち歩いても漠然をものを見ていては
イメージが湧かず、気に入った写真が撮れません。
どのような視点でものを見れば良いのでしょうか?

テーマを決めてみる

今日は「ガラスへの映り込みの面白さを発見しよう」とか
「地面にできた影を主役に撮ってみよう」など
視点のテーマを作ってみると、今まで見過ごしていたものを発見できます。
写真は、撮影者の気づきが表現されるものです。
その気づきを自分で意識していないと、どのような表現にして良いか
またどのようなテクニックを使ったら良いか、わからなくなります。
気づき(視点)を写真にするということをしっかり意識して、ものを見ましょう。
写真撮影のスタートは、テクニックではなくて気づき(視点)なのです。

撮影時のトラブルを避けるために

スナップ写真は、時によっては見知らぬ人が写り込んだり
個人の所有物が被写体となることも多いです。
顔ががはっきりわかる撮り方は避けた方が良いでしょう。
どうしても写したい場合は、
被写体となる人に撮影許可(場合によっては使用許可)をもらうことが必要です。
街中の施設でも内部が撮影禁止となっている場所もあるので注意してください。

また、人が多い場所で三脚を立てたり、
撮影行為自体が通行人の邪魔になるようなことも避けたいものです。
そのためにも、素早く撮るということがスナップ写真では重要になります。