CONTENT コラム・フォトレッスン

構図の作り方

カメラがどんなに進歩しても、構図だけは撮影者が決めるもの。写真の出来の8割は構図の作り方に左右されます。

自分の思いが伝わる構図を考えましょう。

構図を考える前に

機械的に構図をあてはめるのではなく、どのような表現にしたいのか?カメラのファインダーを覗く前に、日被写体と向き合いイメージすることが大切です。

写したいことは何ですか?

「どのような構図にしたら良いかわからない」そんな話をときどき耳にします。
「この被写体はどのような構図が良いのだろう?」と漠然と考える前に「何を写したいのか?」そして、その写したい『こと』が伝わる構図を考えてみましょう。できるだけ具体的に!
たとえば、目の前にあるバラが咲いている公園。
この景色を見て、あなたは写真で何を表現したいのか考えます。「バラの色」それとも「花のきれいさ」あるいは「たくさん咲いている感じ」ですか?あとは、それが写真で伝わるように構図を考えていきます。「たくさん咲いている感じ」なら、花がたくさん感じられるように左右や下部をうまく切り取り、画面外へも想像がいくような構図を考えます。
「この被写体はこういう構図」と決めつけるのではなく、同じ被写体でも表現したいことが違えば構図は変わってきます。撮影者の好みや、感覚で構図が違ってくるのは当たり前なこと。表現したいこと、伝えたいことが明確であれば、構図は自然に決まってきます。
自分がその被写体を見て写真に撮りたいなと思った理由をもう一度振り返ってみましょう。「何に」感動したのか、具体的に考えます。
それがその作品の主題=テーマなのです。

構図は視線の流れをつくること

写真を見た時に、画面内でどのように視線が移動するかを考えることはとても重要です。構図を作る作業とは、この視線の流れを作る作業なのです。

主役を考える

写真の主題=テーマが決まったら、主役を決めましょう。映画やドラマと同じです。その映画で伝えたいことを明確にするため、ストーリーや配役を決めていくのと似ています。
まずは主役を明確にしましょう。写真の主役は写真を見たときに最初に目がいくところ。主役は基本的にひとつです。そうしないと写真を見たときに視線が落ち着きません。欲張らないことです。どうしても主役が二つ欲しければ、主役を変えて2枚の写真に撮り分けます。
主役が決まったら、あとは全て脇役です。脇役の役割は、主役を引き立てることと、雰囲気を作ること。主役の足を引っ張るような脇役は不要です。画面から外すか、入れるとしても部分的に!逆に主役を引き立てる脇役が画面外にあれば、それを画面内に入れましょう。
主役を決め、必要な脇役を画面内に入れ、不要なものは外していく
この作業で構図は決まっていきます。

視線の流れ

写真を見たときに視線の流れがどうなるか・・・このことを意識して主役と脇役の位置を決めます。
最初に主役に行った視線、次はどこに移動しますか?
例えば、主役が画面中央にあると、主役が安定し視線がそこに固定されます。視線が動きません。この構図は「日の丸構図」と呼ばれるもので、構図の良くない例として取り上げられますが、存在感を強調し主役だけを見せたいときに向いています。
では、主役を左右どちらかに寄せてみましょう。最初に主役に行った視線は、次に右か左、空間の多い方へ移動します。そこに雰囲気を感じさせる脇役があれば、写真を見ている人は、主役を眺めながら雰囲気も味わえます。
このように視線の流れを意識しながら主役と脇役の位置関係を考えていきます。

横か縦か?

何気なく決めていた縦構図と横構図も、視線の流れを意識するとどちらがよいのか判断できます。左右に視線が流れる写真は横構図、縦に流れるものは縦構図が合います。
風景写真などでは視線の左右の流れは横の広さ、視線の上下の動きは奥行きを表現する場合が多いようです。特に横の広がりを見せる場合は、画面外へ視線が流れていく工夫をすると、より広さが伝わります。画面の中で視線が止まらないように、左右端に写っているものは、あえて途中で切り、画面外へ視線が流れるようにする(画面外を想像させる)のも広さを見せるテクニックです。