CONTENT コラム・フォトレッスン

レンズの使いこなし

写真上達の秘訣はレンズをいかに使いこなすかということに尽きます。広角、望遠とレンズの特徴を理解し、レンズの目になって被写体を見つけ、イメージを作ることからスタートです。

レンズはたくさんあれば良いというものでもありません。持っているレンズを一本一本しっかりと使いこなすことを考えましょう。

ズームレンズと単焦点レンズ

便利なズームレンズも使い方を誤ると写真の上達を妨げるものになってしまいます。正しい使い方を理解しましょう。また、積極的に単焦点レンズを使うことでレンズの使いこなしも上手くなっていきます。

ズームに頼らない

今は、ほとんどのレンズがズームレンズです。自由に写る範囲(画角)を変えることができ、とても便利なのですが、落とし穴!もあります。それは、構図を決めるとき、撮影者(カメラ位置)は動かないで、ズームを調整するだけで構図を決めてしまうこと。
ピントを合わせた被写体の背景に何が来るかはカメラの位置で決まるのです。それと、被写体を大きく写す方法は、ズームを望遠にするだけではありません。カメラが被写体に近づくことも大きく写す方法なのです。ズーム頼りで撮影者が動かないのでは「怠慢撮影」になってしまいます。
理想の撮り方としては
・どのくらいの画角で撮るか決める
・カメラ位置を決める
・ファインダーを覗いて確認
・ズームで微調整
この4つを繰り返しながら、構図が決まっていきます。
まずは、画角の感覚を身につけることです。

単焦点レンズ

ズームができなく、画角がひとつに決まっているのが単焦点レンズです。ズームできないとは不便!と考えないで、このひとつの画角で写さないといけないので、カメラ位置や被写体との距離を、しっかり考えて構図を決めるようになります。慣れないうちは大変ですが、使いこなしていくとレンズの面白さがわかってきます。
単焦点レンズを使うことは、構図上達の近道ですが、ズームレンズでも「今日は広角側だけを使おう」「望遠側だけを使う」的な撮影をすると、広角と望遠、それぞれの特徴がわかってきて良い勉強にもなります。この特徴を理解するとズームレンズの使こなしもできるようになります。
大事なのはズームに頼らず自分が動くことです。

また、単焦点レンズは絞りのF値がズームレンズよりも小さくなるものが多く、そのため、背景や手前ののボケが大きくなります。ボケが大きい幻想的な写真を撮るのにも向いています。

広角で撮る

広角レンズは広く写りますが、この広さを左右の広さと前後の広さとに分けて考えてみましょう。

広角の特徴

広角レンズ(またはズームの広角側)は広い範囲を写すだけではありません。遠くのものと近くのものの距離感(遠近感)が誇張されて写ります。この特徴を生かすには、画面内に遠くのものと近くのものを両方入れること。そして近くのものにぐっと近づくとより効果的です。
遠近感とは前後の奥行きの広さのこと。広角レンズは左右の広さと奥行きの広さ両方を表現することができるレンズ。特に奥行きを強調したいときは縦構図にすると、より手前近くが写り視線が近くから遠くへ、つまり下から上へ縦に流れます。この視線の流れが奥行きを感じさせるのです。

左右は切る

左右の広さも、ただやたら広角の範囲を広くするのではなく、左右画面外へ視線が流れていく様な構図を考えます。被写体をどう画面内に収めるかではなく、どこで切るかを考えると、画面外への広がりを感じさせる構図になります。

望遠で撮る

遠くのものを大きく撮るという使い方だけでなく、圧縮効果やボケを生かした撮影ができるのが望遠レンズです。

望遠の特徴

望遠レンズは広角とは逆に遠近感を小さくするレンズです。遠くのものが大きく写りますから、遠近の大きさの差が少なくなります(圧縮効果)。
こんな経験はないでしょうか?マラソン競技のテレビ中継、トップと2位の選手が画面に写っています。実況を聞くと数十メートルも差があるのに、2位の選手がトップ選手の差があまり感じられません。これは、望遠レンズを使って撮影しているためです。

ボケを生かす

背景は広角よりもボケやすくなります。絞りの効果がわかりやすく反映され、絞り数値を小さくするとボケやすく、大きくすると背景のボケが小さくなってきます。
背景と同様に、前ボケ(ピントを合わせたものより近くにあるものもボケること)を生かした撮影も得意です。